CP価格

12月31日に1月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

1月CP
プロパン $ 625 /MT(前月比-$10 )
ブタン  $ 615 /MT(前月比-$15 )

アラビアンライト原油の12月1日~31日の平均価格は$74.897/BBLです。
尚、1月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで101.8%、ブタンで101.5%となっております。

過去のCP推移はこちらをクリックしてください。

CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 71.83 ⇒ 72.19 WTI: 68.10 ⇒ 68.59

上昇要因:OPECプラスが閣僚級会合を開き協調減産を2026年末まで延長、またサウジなど8カ国による追加自主減産が25年3月まで維持される方針となったこと、韓国・フランスの政局混乱やシリア内戦、さらにイスラエルによるレバノン政府への攻撃示唆など地政学的リスクの高まりが供給不安を後押ししたことなど。
下落要因:国際エネルギー機関(IEA)の月報において、OPECプラスの減産が継続されるにもかかわらず2025年は世界的に石油の供給過剰となる見通しが示されていること、米エネルギー情報局(EIA)発表の週報において、原油在庫は大幅に減少したものの、ガソリンなどの石油製品在庫が市場予想を上回る積増しを記録したことなど。

中旬: BRENT: 72.19 ⇒ 72.94 WTI: 68.59 ⇒ 69.46

上昇要因:EUが大使級会合にて、ロシアに15回目の制裁を科す方針で基本合意したこと、米国がトランプ次期大統領の就任を前に、ロシアに対する追加制裁を検討中と報じたこと、英仏独3国が国連安全保障理事会に対し必要であれば対イラン制裁復活の準備ができていると伝え、エネルギー供給混乱につながりかねないとの見方が広がったことなど。
下落要因:OPECの月報にて世界石油需要の見通しが5か月連続で引下げとなり、IEA同様に石油製品の供給が過剰となる見通しが示唆されていることなど。

下旬: BRENT: 72.94 ⇒ 74.64 WTI: 69.46 ⇒ 71.72

上昇要因:EIAの週間在庫統計において原油在庫、ディスティレート在庫が市場予想に反して大幅な取り崩しとなったことで、需給引き締まり観測が強まったことなど。
下落要因:英イングランド銀行が根強いインフレなどを背景に政策金利を4.75%に据置き、米英で景気を後押しする利下げが遅延し、エネルギー需要も減退するとの懸念が広がったこと、欧州最大の経済国ドイツや世界最大の石油輸入国である中国の低調な経済指標を受け、エネルギー需要の先行きに対する懸念が増大したことなど。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $623 ⇒ $628

OPECプラスによる減産維持が継続されることで合意されたものの、供給ひっ迫感はなく極東プレーヤーも販売意欲の方が強いことから、原油に連動した小幅な動きに留まった。
11月の米国輸出量は24年で最高となり、12月中に極東へ必要十分量が搬入される見込み。また中国の需要不足が続いていることから先物価格は上昇しにくい環境。

中旬: CP先物 $628 ⇒ $624

サウジアラムコからの1月積み日発表前につき1月の中東輸出量は流動的であるものの、他中東サプライヤーからのスポット供出余力が聞こえ、供給過剰感があった。
12月中旬の期間にフレート相場が強含んだことでFOB購入意欲はさらに押し下げられ、需要期に差し掛かって入るもののCP先物価格は上昇しにくい環境が続いた。

下旬: CP先物 $624 ⇒ $625

1月後半着カーゴの現物商戦が終わろうとしている中、カーゴを売り余しているプレーヤーが複数確認され、また年末の休暇に入るプレーヤーも多いため、手仕舞おうとするプレーヤーがディスカウントをつけて販売し、CFRマーケットの下落基調を後押し。CP価格は月を通して大幅な変動はなく、最終的に$625(プロパン)となった。

1月CPについて

12月31日(火)に発表された1月CPは、プロパン$625/トン(前月対比▲$10)、ブタン$615/トン(前月対比▲$15)。
12月の原油価格について、日々の変動はあったものの、月を通してWTIは$70前後、BRENTは$70台前半の範囲内での推移と昨月と大きく変わらない状況であった。
OPECプラスが協調減産を2026年末まで延長、またサウジなど8カ国による追加自主減産が25年3月まで継続される方針となったことから供給の減速感があったものの、中国をはじめとして需要の増大が見込めないことから、価格の大きな変動はなかった。前月から続くイスラエルとヒズボラの停戦が揺らぐような事態は起きておらず、またシリアのアサド政権崩壊が及ぼす影響も原油の流通に対して与える影響は大きくはないという見方が強く、地政学的リスクが原油価格に与える影響は限定的であった。
1CPはPB共に12CP対比マイナスであり、24年4月→5月以来の前月比下落となった。月を通して中東からの供給ひっ迫感は聞かれず、また冬季の需要増大と石化マージン回復を見込むも需要サイドも想定より伸びず。フレート相場は12月中旬から徐々に上昇傾向であったことからCFRに対してFOBでの購入意欲はさらに減退し、需要期にも関わらず前月対比下落での発表となった。中東・豪州からの潤沢なブタン供給が続いていることからPB格差は+$5/MT拡大し、ブタン対比プロパンが+$10/MTとなった。

今後のマーケットの見通し

・中東情勢の特記事項として、11/27のイスラエル-ヒズボラ間の停戦が発効され60日間以内にイスラエルがレバノンから撤退するべく停戦期間に入っている。イスラエル軍の撤退は現状大きく進展しおらず、ヒズボラは60日間で軍を完全撤退させなければ戦闘を再開すると発表している。戦力を削がれたヒズボラが戦闘を再開したとしても消耗していく一方とは思われるが、この停戦期間中のイスラエルの動き、反応次第では再び大規模戦闘再開の可能性があり注目を集めている。シリアのアサド政権崩壊によりイラン-ヒズボラの協力体制が(物資輸送など物理的に)弱まるという見方もある。また、イスラエル-ガザ間の停戦については、トランプ米大統領の就任を控え積極的に合意に向けて協議を進めているものの、双方がどの程度合意に近づいているかは現状不透明の状況。さらに戦火が拡大していくことは考えにくいが、米国がより介入していくことでまた新たな動きが出てくる可能性もあり、引続き動向に注目が集まる。
・アジアのマーケットにおいては、大きな需要増は聞かれておらず、また米国からの供給についても、生産は順調で霧影響が限定されていることから、足元は供給懸念は見られていない。
一方で米国内での寒波が見え始め、国内需要が増加すると、輸出量制限に影響があるため、注視が必要。また、メキシコ湾荒天の影響の港湾封鎖も時折見られている。
また、トランプ政権下で予定されている輸入品への関税賦課前に中国製品を米国へ早期輸送するため、往路パナマ通峡においてコンテナ船による混雑が徐々に顕在化している。
季節柄、米国積カーゴの濃霧発生による遅延や大洋の天候状況による動静遅延に起因する需給ひっ迫の可能性は恒常的にあるが、船供給が安定していることから、フレートマーケットの急騰も見込まれておらず、カーゴ供給量に対して船影は充足していることから、マーケットは下降傾向となっていく見通し。