CP価格

6月30日に7月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

7月CP
プロパン $ 580 /MT(前月比±$0 )
ブタン  $ 565 /MT(前月比±$0 )

アラビアンライト原油の6月1日~30日の平均価格は$85.426/BBLです。
尚、7月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで82.8%、ブタンで81.8% となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移


上旬: BRENT: $78.36 ⇒ $81.63 WTI: $74.22 ⇒ $77.74

上昇要因:OPECプラスが6月2日開く会合で日量計220万バレルの自主減産を延長するとの見通しが広がったこと。5月末の連休が過ぎ、本格的な夏の行楽シーズンを迎え、自動車や航空機での旅行増加に伴う燃料需要の期待が高まったことなど。
下落要因:米国エネルギー情報局(EIA)が公表した全米在庫統計で、ガソリンとディスティレートが予想に反して積み増しとなったこと。中東情勢が膠着状態にあり、イスラエル、イランの衝突が生じた4月から徐々にリスクオフしているように見受けられることなど。

中旬: BRENT: $81.63 ⇒ $85.71 WTI: $77.74 ⇒ $82.17

上昇要因:欧州中央銀行がインフレ鈍化傾向を踏まえて4年9か月振りの利下げを決定したこと。米国各社が発表した経済指標について、夫々強弱まちまちの結果であったが、低調な雇用関連指標が続いていることから、米国連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを開始するとの期待感が醸成されたことなど。
下落要因:OPECプラス2日に開かれた会合で市場の予想通り協調減産を25年末まで延長することで合意し、自主減産に関しても9月末まで延長することを決めたが段階的な減産幅縮小方針を表明したことなど。

下旬: BRENT: $85.71 ⇒ $86.41 WTI: $82.17 ⇒ $81.54

上昇要因:石油輸出国機構(OPEC)、米エネルギー情報局(EIA)、国際エネルギー機関(IEA)が月報などで、今年下半期のエネルギー需要増加を公表し、市場の在庫ひっ迫感を後押ししていることなど。
下落要因:イギリス・フランスにおいて選挙を目前にし、国債市場ではリスクを避ける動きが優勢となり、米ドル高となったことなど。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $556 ⇒ $566

サウジアラムコはパイプラインメンテナンスの影響で同国内需を賄うため、6月輸出カーゴの一部減量乃至は積み出し遅延を行ったものの、7月積み出しカーゴについては通常通りの出荷となる見込みであり、市場にも7月ブタン付きFOBの売り手が多くみられた。

中旬: CP先物 $566 ⇒ $586

週初めはブタン付き中東FOBの売り手が多い中で買い手は限られていたことから、需給緩和感があったものの、商談が落ち着くと週終わりにかけて売り手の声が減少していき、中東サプライヤー勢のスポット供出余力の少なさが浮き彫りとなった。

下旬: CP先物 $586 ⇒ $575

7月後半着カーゴについては売り手が散見されていたものの、商戦は次第に8月前半着カーゴに移り、韓国勢をはじめとして買い手が多く見られたため、上昇基調が醸成された。一方でパナマ通峡枠の増枠で米国カーゴが極東に流れやすくなっているため、マーケットの下落圧力となり得る。

7月CPについて

6月30日(日)に発表された7月CPは、プロパン$580/トン(前月対比±$0)、ブタン$565/トン(前月対比±$0)にて発表された。
5月のパナマ復路混雑の影響で6月極東着カーゴが減少し、極東到着が7月に先送りとなったカーゴが多く、7月前半極東着カーゴの商戦を行っていた6月前半こそカーゴ供給過剰が感じられたものの、6月後半は原油市況につられるかたちで上昇基調となった。
6月中旬に、7月から新旧パナマ通峡枠が夫々1枠ずつ増加するアナウンスがあり、船腹供給量増加への期待感から、フレート市況が月半ばに急落。併せて極東価格も下落を見せたが、原油上昇の影響を大きく受け、価格下落は一時的なものとなった。季節的不需要期で日本勢の在庫レベルは高いものの、中国PDHからの新規需要が浮上しており上下要因がもみ合う展開となり、プロパン・ブタン夫々6CP同値での発表となった。

今後のマーケットの見通し

【原油価格】 今後の上昇要因としては、北半球の夏場の行楽シーズンに伴うエネルギー需要増加・ウクライナ・ロシア並びに中東情勢に改善が見られず地政学的リスクが顕在し続けていること、またハリケーンシーズンに起因する石油精製・供給に対する不安感等が挙げられる。一方で仏・英が総選挙を控えており、与党敗北の観測が強く、金融・経済危機のリスクを抱えている点等の経済動向は下落要素となる。
【中東市況】 サウジアラビア国内石化原料向けのプロパン数量が増加した影響で輸出量が絞られることとなり、相対的なブタン余剰感が形成されている。LPG総輸入量の半量以上がブタンであるインドは地理的背景からLPG輸入量の95%以上が中東産であるが、総選挙を終え、季節的不需要期となったため、10月のインド最大のイベントであるディワリに向けた燃料用需要増加を迎えるまで、輸入量は落ち着くものと想定。OPEXプラスによる自主減産影響も限定的とみられ、価格下落圧力が強まると想定。
【極東市況】 季節的不需要期であるが故、中国PDHからの需要が尚更に極東市況の上下を司っている。今年に入り未だPDHマージンは一度もプラス圏に突入していないものの、キャッシュフローを回すために購入を続けるPDHもあり、春先に50-60%であったPDH稼働率は、6月中は70%前半台まで回復して推移した。プロピレンを精製するプロパンは、プロピレンと同じオレフィンに属するエチレンを精製するナフサ代替としても使用されるが、韓国の大規模クラッカーの定修があけたり、中国ポリエチレン装置トラブルが相次ぎ、ナフサ需要が増加しており、更にはロシアからのナフサ供給が24年下半期は減少する予測があることから、ナフサ価格が上昇する要素が強く、ナフサ対比の経済性が更に改善すると極東プロパン需要が増加する傾向が想定される。
【米国市況】 5月に米国ガルフのターミナルをトルネードが直撃した影響が未だ顕在し、加えて高気温により輸出量が当初想定より芳しくなく、更には原油高の影響を強く受けてMBは上昇。また、スポットカーゴ供給量が限定されているため、サプライヤーの売り唱え(マージン)が高まっている。但し、生産量は弛みなく増加しているため、原油価格が落ち着きを見せれば、堅調な在庫積み上げを反映した安価な価格評価へ補正されると想定。
【パナマ】 6月中旬のアナウンスに続き、6月末にも8月に新パナマ通峡予約枠が更に1枠増え、6月まで8枠→8月から10枠に増枠となる予定。エルニーニョ現象にも起因し今年に入り直近5年間で最低レベルを更新し続けてきたが、6月以降は改善し、8月には直近5年平均程度まで回復する見込み。