CP価格

2月27日に3月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

3月CP
プロパン $ 615 /MT(前月比-$20 )
ブタン  $ 605 /MT(前月比-$20 )

アラビアンライト原油の2月1日~28日の平均価格は$79.277/BBLです。
尚、3月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで94.6%、ブタンで94.4%となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 75.96 ⇒ 75.87 WTI: 73.16 ⇒ 72.32

上昇要因:OPEC加盟国であるリビアで、地元の抗議活動が同国の主要な石油港からの石油積み出し作業を妨げ、日量約45万バレルの原油輸出が危険にさらされたこと、米エネルギー情報局(EIA)が今週発表した週報では、原油とガソリンの在庫積み増しが確認されたことなど。
下落要因:中国国家統計局が発表した1月の製造業購買担当者景況指数は49.1と、前月比低下。4カ月ぶりに景気の拡大・縮小を判断する節目の50を下回ったほか、昨年8月以来の低水準となったこと、トランプ米大統領はOPECに油価引き下げを要請しており、OPECプラスは4月から追加の自主減産分を段階的に縮小する方針が話されていることなど。

中旬: BRENT: 75.87 ⇒ 76.48 WTI: 72.32 ⇒ 72.57

上昇要因:米トランプ大統領はカナダからの輸入品に25%の関税を課すよう命じ、原油などカナダからのエネルギー関連製品は、税率を10%に軽減したものの、カナダは報復関税の実施を表明したこと、米財務長官はイラン産原油の輸出量を現行の水準の10%未満まで削減する方針を表明したことなど。
下落要因:米トランプ政権は、中国からの輸入品に10%の追加関税させ、対して中国は米国から輸入される石炭と天然ガスに15%、原油などには10%の追加関税を課すと発表。
米中の貿易摩擦の激化を招くとの警戒感が再燃したこと、OPECプラスは合同閣僚監視委員会をオンラインで開催し、有志の8カ国による自主減産を、4月から段階的に増産する現行の計画を堅持したことなど。

下旬: BRENT: 76.48 ⇒ 73.18 WTI: 72.57 ⇒ 69.76

上昇要因:ロシア南部にあるカスピ海パイプライン・コンソーシアムは、ポンプ設備が無人機攻撃を受け、復旧までに1カ月半から2カ月かかる見込みであることを明らかにし、供給混乱への警戒感が台頭したこと、ウクライナ当局は、ロシア軍が夜間に一部のガス施設と電力施設を標的としドローンで攻撃したと明らかにしたことなど。
下落要因:トランプ大統領とロシアのプーチン大統領は、ロシアが侵攻を続けるウクライナでの停戦に向け、交渉を開始することで合意したこと、トランプ米大統領が米国に輸入される自動車に25%程度の関税を課すと表明したことで、世界経済への悪影響に懸念が広がっており、原油需要にも響くとの見方強まったことなど。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $628 ⇒ $625

サウジアラムコが2CPを前月対比+$10にて発表し、市場予想を上回る価格での発表となった。2CP発表直後かつ、3月中東積み出しカーゴの積み日並びに積み数量通知も未発表の状態であったため、様子見の状況が続いていた。

中旬: CP先物 $625 ⇒ $609

中東FOBスポット商戦では、複数の売り手が確認されたことから需給緩和感が醸成され、地理的な理由から中東玉輸入割合が高いインドからの需要増加も聞こえてこず、また、落札情報こそはないものの、クエートから販売入札があり、供給余剰感が発生。

下旬: CP先物 $609 ⇒ $604

LPG/ナフサの格差拡大から、極東でのブタン需要が強含んだものの、現物市場にてサプライヤー・トレーダーより3月積みだしカーゴの売り唱えが多く聞こえており、高在庫影響からインド勢からのFOBの買い気も弱いことから、市況を押し下げた。

3月CPについて

2月27日(木)に発表された3月CPは、プロパン$615/トン(前月対比▲$20)、ブタン$605/トン(前月対比▲$20)。
中東情勢が停戦により(一時的との見方もあるが)落ち着きを見せており、また供給余剰感も引続き継続していることから、2月の原油価格は軟調に推移。
3月CPの先物価格は、複数サプライヤーからスポットテンダーがあり供給力に余力があった状況から一時前月比-$30ほどまで下落圧力がかかった。後半にかけて一部特定カーゴについてマーケット感より高い成約はあったものの、こちらを踏まえても最終的にはマーケットの予測より若干高い水準での値付となった印象。
中東カーゴメイン吸収先である需要地インドにおいても消費ペースが想定より少ないこともあり、ブタン、プロパン共に前月比▲$20/MTと前月比では下落、PB格差は前月から変わらず、ブタン対比プロパンが+$10/MTとなった。

今後のマーケットの見通し

・ハマス-イスラエルの戦いが一時停戦状態となり、停戦の第一段階として1/19からの6週間戦闘を休止した。期限が3/1となっていたが、第二段階の協議が大幅に進んでおらず、延長の議論がなされている。3/2時点では米国提案の延長案をイスラエルは承諾したがハマスは拒否している状況であり、どう展開していくか引続き注目が集まる。
・ヒズボラについて、11/27に発効されたイスラエル-ヒズボラの60日間の停戦は2/18まで延長されるも結局イスラエル軍はレバノンから撤退していない状況。ガザ・イスラエルに関連した中東情勢は停戦状態が継続。フーシの影響力も少し弱まり紅海航行可能な状況が再開する機運も見られ地政学的リスクの低減見られるが、戦闘再開の懸念は拭えない。
・中東カーゴはスポットテンダーの発表も複数あり、足元供給余剰であるというマーケット感。OPEC+内諸国の追加自主減産については現状4月以降回復させていく方針ということもあり、供給懸念の声は聞こえてこない。需要地インドの在庫高状況も続いており揚げ荷役待ち船の滞船長期化が観測されている。以上よりマーケットは引続き弱含む見通し。
・一方で、トランプ大統領就任以来数々の政策・方針を発表し世界の経済に影響を与えている米国について、発信に関連したマーケットへの影響については注視する必要がある。
中国建造の船を扱う船舶Ownerの関連船が米国に寄港する度に課金を要求するなどの新しい構想も出てきており、LPGマーケットへも少なからず影響が発生することが想定される。